目標を細分化する。エクスポージャー法・その４

何ごとでも同様ですが、最初からハードルを上げすぎない方が、ことはうまく運ぶようです。エクスポージャー法によるあがり症対策の場合でも、最初の目標を決して高く上げすぎず、段階的に上げていくことが重要なことです。そして、エクスポージャーを行った後は、各々の段階ごとの結果を細かく評価することが大切になってきます。結果を細かく評価して、あがり症を段階に分けて克服していきます。

たとえば、当初の目標設定として、人前に出て話をすることが全くできない人に対し、落ち着いて冗談交じりに人と話を盛り上げること、などという目標を設定しても、無理な話です。人前で話すことに慣れている人にとっては何でもないことであっても、あがり症に悩む対象者にとっては、あまりに大きい目標になります。

大きすぎる目標に対して、あがり症の人は、自分のエクスポージャーの結果を低く評価してしまい、さらに自信を失うことにもなりかねません。このような場合、最初の目標はあくまで、本人が出来そうな小さなことを設定することから始めます。

たとえば、「小さな声でも構わないから質問してみる」とか「他人の意見に対して賛成の意思表示をする」ということぐらいが適当な目標です。この時点では、内容のでき不できは問わず、実際に人前で話ができたかどうか、その点が重要になってくるからです。特に最初の滑り出しがうまく運ぶかどうか、そのことがポイントですね。

このような経験を細かに積み重ねることで、本人が持つあがり症に対する不安は徐々に緩和されていきます。落ち着いて人前で話ができるようになるには、もっと細かい目標をクリアしながら、段階的に挑戦していきます。

長い時間をかけて、最初に設定した目標が達成できる段階になってくれば、目標で設定したこと以外でも、自発的にエクスポージャーできるようになってきます。このようになればあとは本人の自発性を見守ることであがり症の解消の道が開けます。その後、飛躍的にあがり症の症状が克服され、人前で積極的に話をすることにも抵抗が無くなってくるはずです。